セーリング土居愛実選手、江の島の追い風を受けてメダルへ

東京2020大会は3度目の挑戦
レーザーラジアル級の土居愛実選手
レーザーラジアル級の土居愛実選手レーザーラジアル級の土居愛実選手

風に向かって走るアップウインド、風を後ろから受けて走るダウンウインド。

江の島の海風は好きです、得意です

東京2020オリンピックで3度目のオリンピック出場を目指すレーザーラジアル級、26歳の土居愛実選手は、東京1964オリンピックのレガシーの一つ、会場となる江の島ヨットハーバーの海についてそう話してくれました。

18歳で初めてロンドン2012オリンピック代表になり、22歳で迎えたリオデジャネイロ2016オリンピックには470級の兄、土居一斗選手とともに日本のセーリング界で初めて兄妹のオリンピック出場を果たしました。しかしロンドン2012大会では31位、リオデジャネイロ2016大会では20位。2度のオリンピックで、思うように力を出すことができませんでした。

リオデジャネイロ2016大会では、ラッキーガールのように出場が決まったロンドン2012大会を経て、次こそはと4年間、オリンピックのことだけを考え自分を追い込んできたことが逆に大きなプレッシャーとなり、大会本番で緊張し、「メンタル的な部分で負けてしまった」と土居選手は振り返ります。そういった課題から東京2020大会へ向けては、特にメンタルを強化してきました。

苦しんでいたスランプを脱出
苦しんでいたスランプを脱出苦しんでいたスランプを脱出

2017年の世界大会で日本のレーザー女子選手として初めて銅メダルを獲得した後、スランプに襲われ、昨シーズンもうまくいかない日々が続きました。それでも東京2020オリンピックまで1年となった今夏、土居選手に「良い風」が吹いてきました。6月30日までドイツ・キールで行われたセールボートの祭典「キールウィーク」で銀メダル、そして8月17日(土)から6日間に渡って東京2020オリンピック会場で行われたテストイベント「READY STEADY TOKYO-セーリング」(主催:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)で4位になり、長く苦しんでいたスランプから抜け出しつつあります。

東京2020オリンピックのセーリング女子レーザーラジアル級は7月26日(日)から始まり、8月2日(日)にメダルレースが行われます。来年の夏にはきっと、好きだという「ホーム」江の島のダウンウインドが追い風となって土居選手をメダルへと後押ししてくれることでしょう。

テストイベントを終えた土居選手にお話を伺いました。

良い風が吹いてきた
良い風が吹いてきた良い風が吹いてきた

──テストイベントお疲れさまでした。どんな収穫がありましたか。

ここ1、2年、2シーズンぐらい、あまりうまくいかなくて、2018年はスランプに入ってなかなか抜け出せないなという感じがあったんですが、 今回の1年前のテストイベント(READY STEADY TOKYO-セーリング)でメダルにはちょっと届かなかったですが、4位になり、東京2020(オリンピック)に向けてすごくよい流れになったと思いました。

──テストイベントで試したかったことはどんなことですか。

ラジアルは比較的、 普段の大会と同じくらいのエントリー数だったので、あまり変えたことはなかったんですが、 (直前の)世界大会で船のスピードがあまりよくなくて、そこを直さなければならない、リカバリーしたいと臨んだので、克服できてよかったです。スピードもよく自分の取りたいコースが取れたと思っています。

──江の島というコースについてはどうですか。

江の島の海風は、ずっとここで練習していたのもあって比較的得意ですし、好きではあります。陸風はすごくシフティで(変わりやすく)難しい海面なので、そのあたりはもう少し攻略する必要があると思っています。

メダルへのカギは「スタート」
メダルへのカギは「スタート」メダルへのカギは「スタート」

──東京2020オリンピックは3度目になりますね。これまでのオリンピックと比べていかがですか。

最初のロンドンは高校を卒業してすぐで、目指していたというよりは「行けちゃった」という感じが強かったんですけれども、 リオのときは、4年間、リオでメダルを取るために頑張ってきたというのがあって、緊張したり、メンタル的に本番で今までになったことのないような状態になりました。そういうのをいろいろ経験して、今回はそうなることも想定してメンタルトレーニングにも取り組んできているので、万全な状態でオリンピックを迎えたいと思います。

──メダル獲得のためには、どのあたりがカギになりますか。

スタートですね。今までずっとスタートが苦手で、今シーズンに入ってここ最近やっとよくなってきました。今回の初日に第1レースでブラックフラッグで失格になってしまったんですが、よくなっていた中で攻めた結果ではあったので。ちょっと残念だったんですが、よくなってきている過程なのでよかったかなと。よいスタートが切れて自分の取りたいコースがひければ、地の利も生かしていいレースができるんじゃないかなと思います。

シフティな陸風、難しい海面を攻略
シフティな陸風、難しい海面を攻略シフティな陸風、難しい海面を攻略
自分の取りたいコースへ
自分の取りたいコースへ自分の取りたいコースへ
体を大きくそらせて
体を大きくそらせて体を大きくそらせて
波に一つひとつ船を乗せて
波に一つひとつ船を乗せて波に一つひとつ船を乗せて

波に乗れるダウンウインドが好き

──オリンピックでは多くの人にセーリングを見ていただけるチャンスですよね。どんなところを見てほしいですか。

(レーザー)ラジアルのクラスは他のクラスに比べてスピードもそんなに速くないんですが、どちらかというと爽快感というよりは体の動き、細かい動きを見てもらいたいです。アップウインド、風に向かって走るのでは、体を船から大きく出してそらせて波に合わせて細かい動きをしていたり、ダウンウインド、風を後ろから受けて走る動きはサーフィンみたいな感じで、波に一つひとつ船を乗せて走ります。そういう動きが面白いと思います。私はダウンウインドが好きです。波に乗ってサーフィンをしている感じですごく楽しいです。

──地元でいいタイミングで、オリンピックがありますね。

はい。東京2020オリンピックは集大成という感じです。

集大成の東京2020オリンピックへ
集大成の東京2020オリンピックへ集大成の東京2020オリンピックへ

READY STEADY TOKYO-セーリング結果

セーリング競技について

セーリングのオリンピックにおける歴史は古く、第2回パリ1900大会から実施され、アトランタ1996大会までは「ヨット」の呼称、シドニー2000大会から現在の「セーリング」が競技名となっている。20世紀半ばになるとアメリカでウィンドサーフィンが盛んになり、ロサンゼルス1984大会からヨット競技の一つとしてウィンドサーフィンが種目に加えられている。日本は、アトランタ1996大会の女子470級で銀メダル、アテネ2004大会の男子470級で銅メダルを獲得している。

競技紹介

会場紹介