セーリング吉田愛・吉岡美帆ペアがメダルとともに望むこと

「海の爽快さと楽しさを伝えたい」
女子470級のエース「よしよし」ペア
女子470級のエース「よしよし」ペア女子470級のエース「よしよし」ペア

風と波とたわむれながら、広い海を自由自在に、爽快に走るセーリング。

一緒に漂って、海と一体になれる

2018年に470級で日本女子として初めて世界チャンピオンになり、2019年の世界大会でも銀メダルを獲得。東京2020オリンピックの五輪代表に内定している吉田愛選手・吉岡美帆選手ペアは、笑顔でセーリングへの思いをそう語りました。

吉田選手がメインの帆を動かし舵を取る「スキッパー」、吉岡選手が船のバランスを取りながら他の帆を操る「クルー」。2人は2013年からペアを組み、リオデジャネイロ2016オリンピックで5位入賞を果たしました。そのリオデジャネイロ2016大会後、吉田選手は長男を出産し、ママさんセーラーに。だからこそ、メダルへの思いとともに、子どもたちに海を好きになってほしい、小さい頃からヨットに親しんでほしい、自分がそうだったように。そんな思いで日々の練習やレースに挑んでいます。

東京2020オリンピックのセーリング女子470級は7月29日(水)に出航、8月5日(水)にメダルレースが行われます。オリンピックまで1年を切った8月17日から6日間に渡り、オリンピック会場の江の島ヨットハーバーで行われたテストイベント「READY STEADY TOKYO-セーリング」(主催:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)、吉田・吉岡ペアは第8レースで失格するアクシデントがありましたが、最終日のメダルレースで3位になり、4位でフィニッシュしました。

「ヨンナナマル」のエース、愛称は「よしよし」ペア

「ヨンナナマル」の通称で親しまれている女子470級は日本がアトランタ1996大会で銀メダルを獲得している種目で、東京2020大会でもメダルが期待されています。ライバルであるイギリスペアのリオデジャネイロ2016大会の金メダリスト、ハンナ・ミルズ選手は、吉田・吉岡ペアについて「彼女たちとはいつもメダルを争って戦います。今年の世界大会は私たちが優勝で彼女たちが2位でしたが、常に安定した力を出す本当に手ごわいチームです。ホームで(江の島の)コースをよく知っているので、(東京2020大会では)彼女たちに勝つのは難しくなるでしょう」と話しました。

「よしよし」ペアが目指すのはもちろん東京2020オリンピックの金メダル。レース後、お話を伺いました。

舵を取る「スキッパー」吉田選手
舵を取る「スキッパー」吉田選手舵を取る「スキッパー」吉田選手
バランスを取る「クルー」吉岡選手
バランスを取る「クルー」吉岡選手バランスを取る「クルー」吉岡選手

──「READY STEADY TOKYO」お疲れさまでした。テストイベントでの収穫やメリットを教えていただけますか。

吉田愛選手(以下、吉田):オリンピックと同じスタッフや関係の方々が運営するテストイベントですし、出てよかったと思いました。経験できたのは来年(東京2020大会)のためによかったと思いました。

吉岡美帆選手(以下、吉岡):(東京2020)オリンピックとはちょっと時期が違いますが、夏のコンディションについて把握できましたし、大会自体やその雰囲気、レースの作り方を見ることができたのでよかったと思います。

──テストイベントでは細かい部分をチェックしたいとおっしゃっていましたが、その確認できましたか?

吉田:そうですね。細かい所のチェックとしてもいい大会になりました。私たち2人のコンビネーションで攻めて行けるところ、そういう部分を試しました。先につながる大会になったと思います。

吉岡:(東京2020オリンピック)代表に内定していたので、試していける部分と攻めていける部分、レースでチェックできたと思います。

──これから東京2020大会に向かう中で、次のステップは?

吉田:次はオリンピックに照準を合わせて活動していくと思うんですけれども、周りの選手もオリンピックに合わせて、ピークを持っていくと思います。私たちも課題があるので、それを一つ一つ話して、オリンピックの時にベストな走りができるようにしたいと思います。

吉岡:大会に向けてのピークの合わせ方や、細かい部分の動作のテクニックなどを話し合って、課題を潰しあってオリンピックに向けてしっかり準備していきたいと思います。

難しさもあるスポーツ、そんなところも見てほしい

──東京2020オリンピックはより多くの人がセーリングをみてくださる機会になると思います。改めてセーリングの魅力を教えていただけますか。

吉田:皆さん近くで見る機会があまりない競技だと思うので、セーリングって海にプカンプカンと浮かんでいるだけのイメージかもしれないんですが、実はけっこう体を全体で使って乗り出したり、コースを考えるために頭脳を使ったり、いろんな要素が積み重なって良い順位を取れているんです。「そういう難しさもあるスポーツなんだなあ、ただプカーっと浮かんでいるだけじゃないんだなあ」というところも映像や(今回は江ノ島なので)会場で見ていただけたらと思います。

吉岡:ヨットって優雅なイメージがあると思うんですが、私のポジションだったらワイヤーにぶら下がって水面すれすれにいたり……、そういったフィジカル的な部分や自然相手で風を利用してここまで早く走れるんだというところも見てほしいと思います。

コース取りのために頭脳を使って
コース取りのために頭脳を使ってコース取りのために頭脳を使って
フィジカル的な強さも
フィジカル的な強さもフィジカル的な強さも
水面すれすれまで体を乗り出し
水面すれすれまで体を乗り出し水面すれすれまで体を乗り出し

子どもたちに海の楽しさを知ってほしい

──お二人が活躍することが次の世代の人につながりますよね。そういった人たちにどんなメッセージを送りたいですか。

吉田:私も小さい頃からヨットやセーリングをやっているんですけれども、この広い海を自由自在に走れるということが楽しくて(セーリング競技を)続けているので、海の楽しさを子どもたちに知ってもらいたいなって思います。ぜひ海に遊びに来てもらいたいです。

吉岡:私がセーリングを始めたきっかけも、初めて乗った時に、海面すれすれを一緒に漂って海と一体感になった感覚と身を乗り出して走る爽快感、それが気持ちよかったからなので、そういう部分を感じながら楽しんでヨットをやってほしいなって思います。

「オリンピックが集大成」「ベストを尽くす」

──では最後に、お二人にとって東京2020オリンピックはどういう存在ですか? 思いを聞かせてください。

吉田:選手としては、東京2020オリンピックを集大成にしたいと思っています。オリンピックにすべてをかけ、集中して臨みたいと思います。

吉岡:私は、東京2020大会が2回目のオリンピックになります。今までの成果を発揮してベストを尽くせるような戦いをしたいです。

風と波とたわむれながら、広い海を自由自在に
風と波とたわむれながら、広い海を自由自在に風と波とたわむれながら、広い海を自由自在に

READY STEADY TOKYO-セーリング結果

セーリング競技について

セーリングのオリンピックにおける歴史は古く、第2回パリ1900大会から実施され、アトランタ1996大会までは「ヨット」の呼称、シドニー2000大会から現在の「セーリング」が競技名となっている。20世紀半ばになるとアメリカでウィンドサーフィンが盛んになり、ロサンゼルス1984大会からヨット競技の一つとしてウィンドサーフィンが種目に加えられている。日本は、アトランタ1996大会の女子470級で銀メダル、アテネ2004大会の男子470級で銅メダルを獲得している。

競技紹介

会場紹介